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「おはようございます」
携帯の目覚ましアラームを止めて、微かに痛む頭を押さえながら起き上った秋良に、ごく自然な朝の挨拶が向けられる。
「おはよー……」
反射的に挨拶を返し、独り暮らしの部屋でその挨拶が交わされる事に違和感を感じて顔を上げると、味噌汁をテーブルの上に運んでくる孝則の姿が目に入った。
夢の中の孝則とのキスの感触はまだ鮮明で、びくりと思わず布団を握りしめ。
そしてやっと昨日二人で飲んだ事を思い出した。
先に潰れてしまった自覚はあり、秋良がベッドに運ばれた感覚は曖昧だが残っている。
とすると、そのまま孝則は帰るタイミングを逃してしまったのだろう。
「すみません。勝手に冷蔵庫開けさせていただきました」
「そんなのは全然。ってか、すげぇな」
「簡単なものしか出来ませんでしたが、二日酔いには優しいメニューになっているはずですよ」
テーブルに並べられた孝則が用意してくれた朝食は、ほかほかのご飯とみそ汁に卵焼きという、完璧な日本の朝食と言っていいものだった。
ほとんど中身の入っていない冷蔵庫を前に、よく作ってくれたものだと感心する。
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