1件目:馬鹿と天才は紙一重

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「これくらいの!」と、小さな少女が細い腕を広げてジェニーの大きさを教えてくれる。 「ふむふむ。それで、ジェニーは何色なの?」 「茶色よ。ショコラよりも少し薄みの。それでね、キラキラした宝石を首に付けているわ」 「宝石、ね……」  大概の宝石は皆、キラキラと輝くものだ。 「宝石は何色なの?」 「えっとね……紫色、かしら。ピンクに似てるかも」 「紫にピンク……なんか不思議な色だねぇ。えっと、それじゃあ……ジェニーはいつ、いなくなったの?」 「んー……」  少女は思案げに宙を見つめた。目と口をきゅっと結び、唸る。  グレーズはサラサラとメモを取りながら、脇にあったクッキーに手を伸ばして言葉を待つ。 「そうよ。ルルのお誕生日だったから、六月四日よ」 「ルル?」 「ルルはジェニーのお婿さんなの」 「ほほう、そいつはどえらく大変だ……えと、六月四日ってことは、きっかり先週のことだね」  訊くと少女はすんなりと応えた。半ば、悲しげで顔を俯けている。  対し、グレーズも眉を潜めて唸った。 「うーん、それにしてもおかしいなぁ。ジェニーって結構大きいクマさんなんだよね? それをどうして失くしちゃったのさ」  鉛筆をくるりと回しながら、何の気なしに訊いてみた。     
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