1件目:馬鹿と天才は紙一重

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「……というわけなんだ、エディ」  クッキーを食べているアンリエッタから少し離れた廊下で、グレーズはひび割れた端末を耳に押し当てていた。  一部始終を話している最中、エディは豆を挽いていたり、接客をしていたりと忙しなかったが、大体のあらすじは聞いていたらしく「ほぉ」と深みのある声を落とす。 『で、この昼のクソ忙しい中に連絡してきたわけだ。まったく、お前はいつでもどこでも面倒事を持ってくるんだな』 「たはは~」 『うーん……褒めてないんだけどなぁ。まぁ、いい。要するに一週間前に盗まれたクマを探すと。で、そのクマの見た目はどうなんだよ』 「それ、さっき言ったよね」  思わずむくれて言い返す。すると、エディは苛立たしげに返してきた。 『絵でも写真でもなんでもいいから、その証言だけじゃなんとも言えんだろ。写真撮ってこっちに流せっつってんの』 「なるほど」  ようやく合点がいくグレーズは、早速端末をスライドさせた。その際、通話が勝手に途切れてしまったが気づかずにカメラの機能を探す。 「あった。えーっと……アンリエッタ! ジェニーの写真とか絵とかあるかな?」 「あるわよ」     
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