1件目:馬鹿と天才は紙一重

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「ああ、ほんとさ! 今から迎えに行こう!」 「えっ」  キラキラと輝いていたアンリエッタの顔が瞬時に曇る。瞬く間に不安一色の少女と同じ視線までしゃがみ、グレーズは優しく言った。 「大丈夫。僕に任せてよ」 「……馬鹿を信用するにはまだちょっと無理があるわ」  辛辣な声が返ってくる。そいつをうっかりまともに喰らったグレーズは、少しだけよろけたがどうにか踏ん張った。立ち上がり、両手を大きく広げる。 「いいかい、アンリエッタ。僕は君の願いをちゃんと叶えてやれる。それくらいの力があるんだ」 「うーん……でも、どうやって?」  やけに自信満々な言葉だが、見当がつかないアンリエッタである。  グレーズは口の端を横へと伸ばした。そして、彼女の脇を掴むとふわりと持ち上げる。 「こうやって!」  慌てるアンリエッタを他所に、グレーズは玄関を開け放った。  勢いよく助走をつけて……  そして、  その足は天高く舞い上がった。
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