79人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああ、ほんとさ! 今から迎えに行こう!」
「えっ」
キラキラと輝いていたアンリエッタの顔が瞬時に曇る。瞬く間に不安一色の少女と同じ視線までしゃがみ、グレーズは優しく言った。
「大丈夫。僕に任せてよ」
「……馬鹿を信用するにはまだちょっと無理があるわ」
辛辣な声が返ってくる。そいつをうっかりまともに喰らったグレーズは、少しだけよろけたがどうにか踏ん張った。立ち上がり、両手を大きく広げる。
「いいかい、アンリエッタ。僕は君の願いをちゃんと叶えてやれる。それくらいの力があるんだ」
「うーん……でも、どうやって?」
やけに自信満々な言葉だが、見当がつかないアンリエッタである。
グレーズは口の端を横へと伸ばした。そして、彼女の脇を掴むとふわりと持ち上げる。
「こうやって!」
慌てるアンリエッタを他所に、グレーズは玄関を開け放った。
勢いよく助走をつけて……
そして、
その足は天高く舞い上がった。
最初のコメントを投稿しよう!