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最寄り駅に到着すると彼は、一緒に電車を降りた。加藤さんは、必ずタクシーで家まで送り届けてくれる。こういうところは優しいのに。
「同棲なんて、許してもらえっこない」
運転手さんに聞こえないくらい小声で言うと、加藤さんが睨んでくる。
「まだ言っているのか。何もしないうちから、決めつけるのは、悪い癖だぞ」
「だって」
外泊を許さない親が、同棲なんて許してくれるはずがないよ。どうしてそれを分かってくれないんだろう。
「少しは俺に協力してくれよ。な、花ちゃん」
囁きかけるように言う。
黙っていると彼は、私の耳に唇を寄せ、舌先を入れてきた。うっ、ゾクゾクする。
ていうか、加藤さん、ここタクシーの中・・・。
下半身が熱を持ち、だらしなく開きかけた膝頭に加藤さんが手を置く。くるくると円を描くように撫でられて、力が入らない足は、どんどん開いて行く。
はあ、もうダメ。
ホテルに連れて行って欲しいと加藤さんにせがむような視線を向けた。
「俺に用事を済まさせてくれたらな、それまでお預け」
私を従わせることに成功した彼は、ご満悦な笑みを浮かべて頬にキスを落とす。
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