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「あはは。葉児ってば、そんな警戒しないでも、オレ、和泉になんもしないよ? だいたい、ラブラブ期のカップルなんかに手ぇ出したって、玉砕するに決まってんでしょ! オレはかしこいからね。ヘタなことはしないの。時期をうかがって、葉児のすきをつくんだよっ!」
「誠。その作戦、言っちゃってる時点で、かしこくないから」
真央ちゃん、お腹を抱えて、ゲラゲラ。
だけど、ヨウちゃんは眉間のシワを険しくして、無言でさらに、あたしの肩を、誠から引きはなした。
そっか。やっぱり、誠ってかしこいや。
わざと言っちゃうことによって、ヨウちゃんに、すきをつくれなくしてる。
つまり、ヨウちゃんは、誠に手を出されないように、ずっと気を張ってなきゃならなくなったってこと。
「……ねぇ、そんな心配しないでも、だいじょうぶだよ?」
あたしは、モッズコートのそでぐちを、つっと引いた。
そしたらやっと、ヨウちゃんの腕があたしの肩をはなした。
かわりに、ポンって頭にのっかる、大きな手のひら。
「ほ、ほぇっ!? 」
目をつぶって、また開けたら。モッズコートの背中はもう、自分の席へ歩き出してる。
ヨウちゃん、学校では、クールなフリ。
ビビリなことも、フェアリー・ドクターだってことも、みんなにはナイショ。
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