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「あの……中条君たち、ちょっと……」
見たら、青森さんが、掃除ロッカーの横で手招きしていた。
「あのね……リン、試験落ちちゃったの。だから当分、リンの前で、試験の話するのは、やめてあげて。とくに、和泉さん」
グサっ。ようするに、青森さんと窪のときみたいにならないか心配ってこと……。
「い、言わないよ~。でも……リンちゃん、頭イイのに落ちるなんて、どうして……?」
「試験、そうとうむずかしかったのか。青森は? どうだった?」
青森さん、ふせ目がちでピースサイン。
「ウソっ 受かったのっ! すごいじゃんっ!! 」
「うちのクラスだと、あと受かったのは智士君と、佐伯さんと、菊池さんだよ」
「ほぼ、半数か。よかったな、青森。これで、はれて窪と同じ中学に進学できるな」
「――あれ? 葉児たち?」
廊下の先を見たら、窪も階段をのぼってきていた。
「智士君!」
「窪、試験のこときいたぞ。やったな!」
「おめでとう~」
「ははっ。葉児たちカップルに言われると、なんか照れるな」
窪、後ろ頭をかいて、照れ笑いしながら、こっちに歩いてくる。青森さんの横で立ちどまったと思ったら、その左腕に、青森さんの右腕が、するっとからんだ。
わ……今の自然……。
窪も、前みたいに青森さんをつきはなしたりはしない。ちょっとほおを赤らめて、青森さんを見おろしただけで、堂々とその腕を受け入れてる。
チラッと、自分の右腕を見おろしたら、すぐ右にヨウちゃんの左腕。
ぶらりとたれさがったまんま。
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