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――だが恋も信仰もやはり同じ。おそらく、深みにはまるとそれは徐々に空模様が変わっていってしまう性質のもので。
彼女と恋人になれて、その視線に溺れたいとかそのぬくもりに触れてみたいとかその匂いに包まれたいとか、そういう諸々の念願が叶って、満たされて、解脱でも開眼でもなんでもして、そのまま浄化されてしまえば良かったのに。
俺は貪欲にも『もっと』と願ってしまった。
潤んだ瞳で見つめられれば目を逸らされることが怖くなって、やわらかなぬくもりに触れてしまえば二度と離したくないと思ってしまって、ふんわりと匂いに包まれればもうそれがなくては生きていけないような気にすらなって。
気がつけば俺は果てることなく彼女を求めるようになっていた。
これではもはや、恋や信仰などとは到底呼べない。恋人や神さまを万人に分け与えることを厭って独占したいという欲求を抱き続け、あまつさえ己の心のままに貪り続けることを、そういうなんだか神聖な言葉に当てはめて良いということはないだろう。
恋というには渇きすぎている。飢えすぎている。
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