6人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、事故は、きんかんばばあの仕業なのか?」
「結果的には、俺のハンドルミスだ。でも、原因は、きんかんばばあだよ」
「何があったんだ?」
「健一は、大学の時に関西から引っ越して来ただろ? だから、きんかんばばあの都市伝説を知らなかったんだ」
それと事故と何の関係が? と思ったが、都市伝説として伝わっている、きんかんばばあの行動を思い出し、疑問はすぐに解けた。
「おい、まさか健一、きんかんばばあの質問に……」
「ああ、いらないって答えたんだ」
きんかんばばあは、車を追い抜くくらい足が速い。
でも、それとは別に問題があった。
それが、きんかんばばあの質問である。
きんかんばばあは、こう質問するのだ。
『手はいるかい?』
と……。
誰も妖怪ばばあの手なんて借りたくないから、いらないと答えるが、それは間違いだ。
きんかんばばあは、いらない。と言われると、その人物の手を鎌で切り落としていくのだ。
ちなみに、いる。と答えた場合は、自分の手を切り落として置いていくという迷惑なばばあである。
「じゃあ、健一の両手は……」
「そうだよ。あいつの両手は事故でなくなったんじゃなくて、きんかんばばあに切断されたんだ」
まさか、自分の周りで都市伝説に巻き込まれる人間がいるなんて思わなかった。
これからは、都市伝説を甘く見てはいけない。
これを読んでいる、そこの貴方。
貴方も、きんかんばばあに出逢ったら、くれぐれも手はいらない、なんて答えないように注意してほしい。
最初のコメントを投稿しよう!