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最近、男子どもであつまると、「うちのクラスで、一番カワイイ女子は、だれだ?」って話になる。
「やっぱ、倉橋っしょ」
って言ったのは、大岩。体がゴツゴツとでかくて、身長もクラスで、オレの次にでかい。
まぁ、あの筋肉のつきのよさには、オレも負けるけど。
オレの場合、身長はあるけど、筋力は小六の平均値。で、「やせ型」。
「倉橋はさ~、猫目がいいんだよな~。なついたと思ったら、つきはなされる感じがたまんね~」
大岩、目尻をさげて、ニタニタ。
「オレ的には、永井も捨てがたいな」
杉田は、教室の廊下側の席に目をやった。
そこの席に、女子たちが三人あつまっていて、昼休みをつぶしている。
一番背が高いのが、永井。黒縁メガネをかけ、髪をふたつにむすんで、胸の前でたらしている。
「勉強教わって、『そんなこともできないの?』とかって、見くだされたいね」
「おまえ、どんな趣味だよ……」
ほおづえをついてため息をついたオレを、誠のクリクリ目がのぞきこんできた。
「なぁ、和泉は?」
「……和泉か~」
教室の一番後ろのオレの席にたむろした男子たち、五、六人。う~んとうなる。
みんな眉間にしわを寄せて。腕を組んで。はたから見れば、日本の未来について語り合う若者たち。
「いや、待て。それはないだろ?」
オレだけ、ひとり、笑いたくなった。
「だって、和泉って、なんか、幼稚園児相手にしてる気分にならねぇ? ドンくさいし。なにやらしても、なんもできねぇし。だいたい、あの、頭からとびだしてるアホ毛、見てみろよ」
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