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理科の実験が苦手って理由だけじゃない……。
嫌われてる……。
オレが……?
――なんで?
「中条君、さっきの実験大変だったね~」
教室の自分の席にもどると、青森が話しかけてきた。
「きいてよ、リン~。和泉さんがね~。また、すっごいお荷物でさ~」
青森が倉橋に、一部始終を伝えはじめる。
「え~っ!? ウッソ~っ!?」とか「和泉さん、サイアク。チョーめいわく~」とか、声をあらげる倉橋。
「そのとおりだ」と思いながらきいていると、廊下側の河瀬の席をとりかこんでいる和泉たちが視界に入った。
こちらの席をふり返り、倉橋の顔をチラチラと気にしている。
「も~、ホンット、これ以上めいわくかけるなら、和泉さんって学校に来なくてよくない?」
倉橋の声に、和泉はきゅっと首をすくめた。目をきつくつぶって、両耳を手でふさぐ。
……そうか。
あいつにとって、倉橋や青森の会話は、「自分の悪口」でしかないんだ……。
あいつ目線で見れば、倉橋や青森は、オレの取り巻き。
つまりオレは、自分の悪口を言う人間の「ボス」。
だからオレのことが、嫌いってか……?
いろいろ考えていたら、頭が痛くなってきて、オレはつくえの上につっぷした。
……なんだ、それ。くそめんどくさい。
だったら、悪口言われるようなこと、しなけりゃいいだけだろっ!?
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