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「いらっしゃいませ。開演まであと少しです。お早めに席におつきください。」
僕は、蒼山 彩葉あやは。今は春休みで、『新星プラネタリウム』でバイト中。
開演すると、僕の仕事はしばらくなくなる。一息つきたいところだ。
開演から10分くらい経った頃、
「あの…すいません。」
高校生ぐらいの女子が声をかけてきた。
「はい、どうかなさいましたか?」
「少し、気分が悪くて。」
よく見ると、少し呼吸が苦しそうだ。
「奥のソファーでお休みください。飲み物いりますか?」
「いえ、病気のせいなので…ソファーだけお借りしても良いですか?」
「どうぞ…」
少しおぼつかない足取りで、休憩室に入って行く。
「…大丈夫か?」
プラネタリウム閉館の時間になって、僕は彼女の元へ行った。
「あの…すいません。大丈夫ですか?」
声をかけると、
「はい。もう大丈夫です。」
「あの、失礼ですが病気って…」
「ああ、小さい頃から長く上を向いていると、息ができなくなってきてしまって…もう大丈夫かと思ったのですが、やっぱりダメでした。」
「そうですか…」
「そんな、深刻じゃないので大丈夫ですよ。あっ、もう閉館ですね。それじゃ」
そう言うと、その子は駆け出して行った。
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