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『想いを伝えるおまじないがある』
そんなウワサを聞いたのはいつだったっけ。教室の隅、廊下のすれ違いざま、女子トイレの中。いったいどこで耳にしたのかは覚えてないけれど、それは今の私に必要なものだった。
もしそんなおまじないがあるとすれば、引っ込み思案であがり症な私でもまっすぐに気持ちを伝えることができる。好きな人に好きだという思いをまっすぐ伝えて、答えを尋ねることができる。
そう意気込んだ私が今いるのは夜の学校。真っ暗な廊下をこっそりと歩いて、いつもの教室へとたどり着いた。
教室へ入ってすぐに、私はスマホを取り出して『おまじない』の方法が書かれているおまじないサイトを開いた。ピンク色の背景に、フェルトみたくもこもこなフォントの文字が綴るのはおまじないの手順。好きな人に想いを伝えるおまじないは、夜の学校に忍び込むところから始まるのだ。
私は、自分が座っている席から右斜め二つ前の席に座る。間違えもしない彼の席。いつも好きな人が使っている椅子と同じものに座っているんだと思うと、ちょっとだけドキドキした。
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