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『小学校二年生の俺たちは、遊びの少ない田舎の中で常に刺激を求めていた。山の中を走り回って、虫とか川だけで遊ぶだけじゃ物足りない。だから、夜の学校に忍び込んでそんざいしない四つ目の教室を探そうって話になったときは四人が四人とも賛成した。
当直の教師が半分ぼけたようなじいさん教師の日をこっそり調べて、懐中電灯を用意して……準備してるときが一番楽しかったな。わざわざ弁当を作ってきたのは藤岡だったな。俺は適当なお菓子を持って行ってて、金城は懐中電灯を五つも持ってきてた。
夜の学校に集まった俺たちは、まず校門の裏で作戦会議をしたよな。
四つ目の教室があるのは西校舎の一階。一年、二年、三年の教室とトイレしかないはずのそこに、夜になると現れる四つ目の教室。その真相を確かめるために、どうすればいいかって。
まず出た意見は、正攻法を崩してやろうって意見だった。三年の教室から順番に見ていくんじゃなくて、逆に、トイレがある側から教室を確認していくっていう作戦。一年の教室から順番に扉の上側についてるプレートを確認していったら、薄暗い中だからトイレのプレートを教室のプレートと勘違いして逃げ出したせいだっていう話があったから、同じ間違いをしないように。
そうして、当直の教師にばれないように忍び込んだ俺たちは、西校舎一階のトイレ側から教室を確認していった。四人で押したり押されたりしながら、懐中電灯の明かりを頼りにそろりそろりと進んでいく。
まずはトイレを通り過ぎて、その次にある教室のプレートを確認しようと明かりで照らしたそのとき――――俺たちが見たのは、何も書かれていない真っ白なプレートだった。三年の教室なら三年って書いてあるはずなのに、一年の教室なら一年って書いてあるはずなのに、何も書かれていない真っ白なプレートだけがそこにある。
思いっきりビビッた俺たちは懐中電灯を放り出して学校から逃げ出した。涙と鼻水を一緒くたに流しながらそれぞれ家に帰って、両親に怒られたり教師に叱られたり……思い出せば、馬鹿げた学校探検だが、一応は怪談っぽい終わり方をしてたな。あの頃の体験は』
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