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序章 かつて世界は ~Talk about the past~
″負けないで、、、。″
なんて自分勝手で他人任せな言葉だろう、君がその言葉をいえるほど僕の役に立てたのか?
″信じてる″
過ちを繰り返す人間に信頼なんて言葉や想い、信じられないだろ?
ーー死なないで。
焼け残る故郷を背中にぼろぼろになりながらも、私は彼の前に立った。
「無理して立たなくても。それ鎧の意味ないじゃん
。そんな格好、もう勇者とは言えないね。」
その男は嘲笑い、指をさした。
「二ハラ、、、。」
私は深く負った傷口を片腕で押さえ、必死に己の剣を、
必死に嘲笑う男、魔王 二ハラに向けた。
「え?まだ戦うつもりなの?無駄だよ。今の君、水面鏡で見てみなよ、装備してた鎧はボロボロ、片目は潰れ、あんたの腹からは腸やら何やら出ちゃってんじゃん、僕に向けている剣は、欠け、防御に必死で攻撃をしてこない。
今のあんたのその姿が今の戦闘力を表している、それにほら、あの娘が見てもその姿は勇者に見えるかな?」
「……二ハ、 、ラ」
「なに、その目。そんな憎悪な気持ち、実に勇者らしくない、英雄らしくないよ!!」
言葉の強さが魔力に変わり二ハラの手からは巨大な火の玉が私にめがけて飛んできた。
「ぐ、、、う、、っ」
ギリギリ耐えれたが、ダメージは酷い
「あれ?あれれ、英雄さんよ。らしくないなぁ、そんな醜い姿は。」
「くっ、、、」
思ったよりガード出来なかったらしく体制を崩してしまった。
「あはは、勇者ちゃん、倒れちゃったね!ほれ、頑張って!」
「……。」
どんどん意識がとうのいていくのが分かる。
目の前の景色がぼやける、敵が誰か分からない。
聴力もボーンとしていて、二ハラの声が響く。
「あれ?動かないじゃん?もしもーし、えいゆーくーん
世界なくなっちゃうよー?」
なくなるなにが?
「また、そうやって僕に負けて、なにも救えなくなるんだよなー」
救えない?だれを
「もう、いい。壊す。」
壊す?嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
なにかが私を奮い立たせる。
嫌だ、壊させて、、たまるか。
何が原因かは分からない。
その気持ちが強くなればなるほど、ある人のことを思い出した。
そして、私の脳裏の片隅にひとつ言葉がささやいてきた。
ーー死なないで。
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