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Perfect rival
前から、「仲良いな」とは思っていた。
3組の野上祐輔くん。
「友達なの?」と聞いたら、彼女は「言ってなかったっけ」と呟いた後、こう答えた。
「一緒に住んでるの」
「……は?」
俺は呆気に取られてそう呟くしかなかった。
「誰にも言わないでね。一応、みんなには内緒にしてるから」
なんでもないことかのようにそう言うと、彼女はいつものように笑った。
彼女の名前は豊原彩音。先月から交際している、俺の恋人だ。
「待って、一緒に住んでるって、同棲してるってこと?」
「同棲?うーん、まあそう言っちゃえばそうかなあ」
戸惑いを隠しれ切れないままに尋ねる俺に、彼女は相変わらずの笑顔でそう答える。
俺はますます混乱した。
明るくさっぱりとした性格をした彩音は、裏表のないところも魅力だ。
その彩音に、こんな隠し事があったなんて……。
それ以来、俺は野上祐輔のことが、気になって仕方が無くなった。
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