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翌朝はホテルで軽めに朝食を済ませ、小一時間ほどドライブがてら
厚岸町にある道の駅内のレストランでセルフBBQを堪能する予定だ。
「牡蠣の食べ放題もあるけれど、魚介市場で好きな食材を選んだ方が楽しいよね?」
瞳が嬉しそうに提案する。
「金のカキえもんって興味あるぅ」
ブランド品に目がない梢が、つかさず声を上げる。
「元祖バケツ牡蠣十個で千五百円だって。時間制限のある食べ放題より、
これの方が良いんじゃない?」
女四人集まれば、色気より食い気が優先される。
初めて訪れる不慣れな土地なのに、小百合も鼻歌交じりに楽しそうに運転している。
「本来なら道を知っている私が運転できれば良いのにね」
申し訳なさそうに、奈美恵が声をかける。
「でも、奈美恵は免許を持っていないでしょう?」
「ごめん、それもそうだね」
事前に食事代として一人一万五千円ずつ徴収し、
奈美恵が会計係として支払いを担当している。誰がいくら分食べたとか、
細かい計算をしなくて済むので、揉めることなく食事に集中できるのだ。
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