22人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、でも……せっかく来たんだから、もうちょっと先まで行ってみようよ」
人気のない霧多布岬を選んだのは、他でもなかった。
怖がる梢の背中を押して、あわよくばそのまま崖下に突き落とす――
三人でそんな悪魔のような計画を立てたからだ。
だが、それはあくまでも机上の空論に過ぎず、
背中を押し落とすフリをして脅かすだけで上出来だった。ところが、
どうしたことか担当の小百合が、急にその場にしゃがみこんでしまったのだ。
「き、気づいたんだけど……わ、私、こういう場所が、に、苦手かもしれない……」
初めて訪れた大自然の脅威に恐れをなし、
都会育ちの小百合は足がすくんでしまったらしい。
「小百合、大丈夫?」
「う、うん……次の目的地まで運転を代わってくれる、瞳?」
「お、OK。任せて!」
真っ青な顔をした小百合を介抱しながら、
四人は霧多布岬を後に駐車場へと舞い戻った。
最初の計画は何も実行されないまま、次の目的地へと移動する結果となった。
最初のコメントを投稿しよう!