序章

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 いっそのことこの世から消えてくれれば良いのにと願った時期もあった。 でも、いざその亡骸を目にしたら本当に彼女の死を望んでいたのかと、 どこかで自問自答する声が聞こえてくるようだった。  食事を終えて店から出たところ、同僚の永瀬梢が不調を訴えた。 あっという間に呼吸困難に陥り、救急車で病院に運ばれた。 しかし、手当ての甲斐なく呼吸停止により死亡したのだった。 「う、嘘……さっきまであんなに元気だったのに」 「私たちも梢と同じものを食べたのに、どうしてあの子だけが…… ま、まさか、例の復讐計画がまだ続いていたとか?」 「ば、馬鹿なこと言わないでよ。あれはとっくに終わったことじゃない。 私たちは関係ないわよ。事故よ、きっと事故に決まっている」  担当の警察官の話によると明らかに何が原因で死に至ったのか判明しているが、 関係者各位への事情徴収や死体解剖の結果を見てから判断するそうだ。  皆が梢の死を偶発的な事故だと考えていた。 だが、その後に誰も知らなかった衝撃的な事実が発覚するのであった。
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