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 気の弱い小百合は返して欲しいと梢に言えず、 失くしたわけではないなら返ってくるまで待つと言う始末だ。 「知っているでしょう、梢の性格。マンションに遊びに行ったら、 掃除する羽目になって大変だったのよ。バッグと靴は見つかったけれど、 残念ながらネックレスは未だ行方不明中なのよ」  会社の机回りを見る限り、梢の自宅の様子は簡単に想像できた。 「梢ってあれだけ綺麗な容姿をしているのに、 だらしないところが何とも残念なのよね」  そのだらしない性格が仇となって、読者モデルの仕事も続かなかったと噂で聞いた。  そして、奈美恵は自ら企画したプロジェクト案を盗まれて、 危うく梢に手柄を横取りされるところだった。土壇場で梢がボロを出したため、 事情を察知した上司がリーダー交代をさせた。その後、 同期四人のチームプロジェクトに変更し始動したのだった。  そして今回、無事にプロジェクトを成功させたご褒美として、 四人は道東三泊四日の旅に出かけることになったわけだ。
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