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 釧路空港に降り立った四人は、レンタカーで市街あるホテルに向かった。 ドライバーは意外にも運転好きの小百合。そして、ナビは運転免許を持っている瞳。 旅の計画は中学、高校時代、釧路に住んでいた奈美恵だった。  奈美恵が道東自慢の美味しい名物や、観光スポットを案内するという企画だが、 実は裏にとんでもない計画が隠されていた。その秘密を共有するのは奈美恵、 小百合、瞳の三人。秘密の計画内容とは、梢への復讐だった。 「なんで釧路かなぁ……普通なら札幌とか函館とか、 北海道でも王道の観光地を選ぶのに、こんな地味なところなんて。 しかも、まだ十月だっていうのに寒いし、北海道の端っこで遠いし……」  空港に到着した途端、可愛らしい梢の口が毒を吐いた。 「地味で悪かったわね。ここは私の育った思い出の街なのよ」 「この季節の道東には、美味しいものが満載なんだって。 せっかくのご褒美旅行なんだもの、ありきたりの観光じゃない方が楽しいじゃないの」  小百合と瞳がもっともらしい言葉を並べてフォローする。 「そうよ、そうよ。それに土地に詳しいガイドがいるんだから、 間違いないわよ。ねぇ、奈美恵」
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