1、大航海

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1、大航海

 台湾の役から三年が過ぎた。私たちの時間では一か月に満たない。  どうしてこうなるのか、理論物理学の専門家、楊博士から何度も説明を聞いたが未だに理解できない。  「アインシュタインの相対性理論をご存知ですか?」  そう問われてもSF映画程度の知識しかない。私たちが準高速で一年間宇宙を飛行し、地球に戻って来た場合、地球上では何百年もの時が流れているという、まるで浦島太郎みたいな話だ。 光の速度に近づくと時間が圧縮されるというアレですか? 私の質問に揚博士はできるだけ分かり易く答えてくれた。  「その知識だけで充分です。じゃあ、こう考えて下さい。」  私たちの時空は光の速度で歴史改変の時空に接近している。接近速度は次第に緩やかになり、歴史改変の時空が私たちの歴史と同じ二十一世紀に達する頃には同じスピードで時を刻むようになる。   いかん、私の脳細胞が大気圏に突入して燃え尽きていくうう。  結論はこうだ。私には理化系の学問は向いていない。
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