神の物差し、ヒトの物差し

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 テレビから一切視線を外すことなく、マノギはそう言って退屈そうな欠伸を一つ。 「本当ですか? 本当に見つかります?」 「見つかる、とは言うておらぬ。あくまで探すと言うたのよ。故に期待せず待つがよい。それ茶が薄くなるぞ、さっさと飲んで今日はもう帰れ――外も暗い」  傲岸にそれだけ言い放つと、嘉穂は既に暗くなりはじめた外の様子を見て一気にアイスティーを飲んだ。マノギの言葉は決してやさしいものではないが、それでも探すというその一言が少しでも救いになったらしい。  空になったグラスを片付ける司と志津真に頭を下げると、彼女は先程よりよほどしっかりした足取りで帰っていった。
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