神の物差し、ヒトの物差し

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 部下に指示を飛ばす上司の様な口調でそう言うと、水鏡はゆらゆらとその水面を揺らし、やがてそれは鏡の様な反射を放っていく。  ややしばらく、時間にして三、四分はそうして揺れていた水面が、ある一点を映してぴたりと波紋を止めた。鬱蒼とした木々が映し出されたそこから志津真が視点を変えれば、鳥の巣のようなものが見える。 「きた、かもしれない。詳しい場所は……だめだ、掴めない。ただ恐らく頂上付近か」 「芦雪の干渉が強くあればそなたの今の力では探り当てられぬかもしれぬぞ。やはり実際出向いてこなたが彼奴に聞き及ぶが吉か。司、支度をせよ」  マノギが水たまりを覗き込んで顎を撫でながら、司に指示を飛ばす。ただの水たまりに戻っていく水鏡の処理をしながら、志津真も出かけるのならばと首を鳴らして着ていたエプロンを脱ぎ始めた。 「は、はい。分かりました――二人とも電車でいい? 特にマノギ様空飛ぼうとか言わない?」 「飛びたいのは山々ではあるがの、蔵越は芦雪の領域。如何なこなたとて、他の地霊の縄張りに無礼を働くことは出来ぬよ」 「あ、無礼っていう認識はあったんですか……」  とはいえ先に朝食を食べなければならない。  既に志津真が用意していた朝食を食べた後、三人は安全に電車で隣町まで向かうことになった。
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