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急ぎは無いからと、籠の上のものから順番に配っていって残り二つとなった時だ。
ちょうど時計台の鐘の音が響いた。七時の鐘だ。
この鐘が鳴り終わる頃には終われるだろう。そう思って片方の包みを見て、驚いた。
アルファ教会、七時頃までに。
もう七時だ。慌ててもう一つの包みを見ても、そちらには時間指定が書かれていない。それならばとササラは急いで教会へと向かった。
お父さんの嘘つき! と心の中で父に怒鳴りつける余裕すらないほどに急がざるを得なかった。
鐘の音が鳴り終わる前にシスターに手渡して、さぁ最後の一つ! とササラは気合を入れて確認する。ふわりと空へと浮き上がりつつ札を見ると、教会とは真逆の位置だった。
籠の中に入れる際にある程度整理されているはずだが、今回は流石にそんな余裕がなかったらしい。今日くらいは文句を言ってしまってもいいんじゃないか。ササラは一人大きな溜息を吐き出した。
さて、どうしようか。屋根あたりまで上がってきて少し考えた。
時間指定はないので普段通りに飛んで行けばいいのだけれど、今日は疲れ果てている。魔力だって残りが少ないので、出来れば早く帰りたい。
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