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あの日は配達があったのですぐに飛び去ったが、「魔女さんまたね!」と背後からかけられた言葉に何となく立ち寄ってしまった。
お菓子の匂いに気がついて窓を開けていたようだったし、もしかしたら今度も同じかもしれない。
そう思って今日はパンプキンパイを籠にいれていた。父が焼いた商品ではなくササラが作ったものなので、見た目も味も少し劣り商品には無理だがお金をとらない分には全く問題ないものだ。
ランタンは星屑を燃やした魔法の炎をいれたし、ホウキの先だって綺麗に整えた。髪の毛も飛ぶ前に整えたのでそこまで乱れていないはずだ。
とまでして、何でこんなに気をつかっているのかと慌ててしまったが、ササラが引き返すより前に「甘い匂いがする!」と窓が開いていた。
窓から勢いよく顔を出した青年が、これまた勢いよく振り向いてササラの姿を捉える。前と同じ様に目を丸くした青年は、「こんばんは、魔女さん」とまたあの笑顔をこちらへと向けてくれた。
注文されたわけでもないパンプキンパイを持ってきたが、どうしようかと今更ササラが悩んでいるうちに向こうからお菓子が食べたいと切り出さた。有難いことこの上ない。
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