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障壁が崩れ、手を繋いで現れたセシリーとギルバートを、緊張した面持ちのケイト、ブライアン、アーサーが出迎えた。
セシリーは微笑んで、繋いだ手を少し持ち上げて見せる。
「ケイト、ブライアン、アーサー。ありがとう。おかげで、わたくしは望みを果たしたわ」
「良かったですね、隊長。あたしたちも嬉しいです……っ」
「あれ、ケイトが泣いてる。珍しいじゃないっすか」
「何よブライアン!あたしだって泣く時くらいあるわよ!」
「えー?」
「ちょっと何その態度!」
言い合いを始めてしまった二人に笑って、セシリーは呆れている様子のアーサーに顔を向ける。
「アーサー、戦況は?」
「はい。先程、アルストニアの障壁に穴を開けたそうです。まもなく騎士団も到着し、魔術師団と共に進軍するとのことです」
「そう。ここは大丈夫かしら」
「お任せください。支援部隊としての仕事はきっちり果たします。隊長がいなくても」
頼もしく、そして少し寂しくもある言葉に、セシリーは曖昧に笑った。それから思い出したように、手に持っていた杖をアーサーに差し出した。
驚いて目を丸くするアーサーに、笑みを浮かべながらセシリーは言う。
「わたくしにはもう必要無いから。この杖を、戦いが終わったらお兄様に渡して欲しいのだけど、頼めるかしら?」
「必ず」
アーサーは、恭しく両手で杖を受け取った。言い合いをしていたケイトとブライアンも、いつの間にか静かになっている。
「お願いね。あなたたちに出会えて良かったわ。ギル、行きましょう」
三人にそれぞれ笑いかけてから、セシリーはギルバートを見上げた。黙って待っていたギルバートは、柔らかく笑って頷く。
そうして去っていく二人を、三人は頭を下げて見送った。
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