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その様子に微笑みながら、彼女はそれをさらに煮た後、2、3回濾し、最後にアモルリアの花の蜜を一滴加え、綺麗な瓶に詰めた。
「はい。どうぞ」
カウンターの上に彼女が置くと、少女は椅子からぴょんっと飛び降り、カウンターの前に立った。瓶を手に取り、大事そうに持ってきていた袋にしまう。
「ありがとう。こんなに早く作れるなんて、いつ見ても凄いね、セシリー様」
少女の褒め言葉に彼女――、セシリーは微笑みを浮かべる。
ここは、アルストニア王国第三王子、エリヤスの屋敷の程近く。エリヤスお抱えの魔法薬師となったセシリーの、研究所である。
以前使っていた小屋とは比べ物にならないほど広く、3部屋ずつの二階建てで、一階部分を作業場、二階部分をすべて薬品庫として使っている。
時々、こうして近所の人にも薬を作るが、主な仕事はエリヤスの為に魔法薬を作ること。とはいえ、比較的自由にしてよい職場である。
「お褒めに預り光栄です。さぁ、早く持っていってあげて」
「うん。あ、これ、母さんから。今日のお礼に。セシリー様が好きって言ってくれたお菓子だよ。ギルバート様と食べてねって」
「ありがとう。いただくわ。気を付けてね」
「はーい。さようなら」
手を振って帰っていく少女を外まで見送り、セシリーは部屋の中に戻った。
それから、薬品の精製をしたり、材料を刻んだり洗ったりして過ごし、日が傾き始めた頃、帰路についたのである。
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