ふたりのハナへ贈る歌

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私は気分もよくなって鼻歌を歌った。 いつもの鼻歌だ。 ハナも尻尾を振っている。 「ハナ……好きだよね、この歌」 『わふっ!』 私は……この曲のタイトルを知らない。 正確に言うと忘れた。 小学校のときの音楽会で歌った曲なんだけど……それも全部歌えない。 歌詞もあやふや。 なんて曲だったっけ…… ただ、自分にとって大切な歌であることは確かだ。この歌がきっかけで今の自分があると言っても過言ではない。 "咲ちゃん、いい声ね" そのとき、(はな)先生の声が脳裏をよぎった。
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