ふたりのハナへ贈る歌

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(1) 「(さき)ちゃん?」 ボイトレの先生の声が耳に入ってきた。 はっとする。 あっ、しまった…… また楽譜を見ながら余計なこと考えてた。 すかさず謝る。 「すみません……どうしたらもっとうまく歌えるか考えてて……」 先生は呆れてため息をついた。 「だったら、姿勢のこともっと意識してちょうだい。レッスン始めたときより崩れてる」 横に設置された鏡を見ると、たしかに少しだけ猫背になっている自分がいた。慌てて基本の姿勢を作る。
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