ふたりのハナへ贈る歌

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『わふっ!!』 そのとき、ハナに呼び止められた。 私は立ち止まり、ハナに話しかける。 「ごめん。明日、早いんだよ……」 じーっ。 期待の眼差しである。 「ハナ……」 しょうがないな…… 私は駆け寄った。そして、ハナの顔をぐしゃっと中央に持ってきた。 「変顔」 『……ふんっ』 ハナは鼻を鳴らして、顔をぶるぶると震わせながら、私の手を払いのけた。 これがお決まりの挨拶だ。 顔が自然と緩む。 私は近くにあったリードを手に取り、ハナに見せた。 "お散歩"と理解したハナは、ものすごい勢いで尻尾を振り、両手を広げて飛びついてきた。
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