ブルース・リー再生計画

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 なるほど、その心配はもっともです。というか、もちろんそれを考えてプログラムしました。32歳で亡くなるというプログラムを。彼の死因である脳内出血で、ですね。いや違う、あれは謀殺だ、ですって? それは噂に過ぎないでしょう? いつもそういうこと言う人いるんですよ。謀殺のプログラミングはできませんしねえ。脳内出血の原因になったような無理な運動とか、あるいはこれも噂に過ぎないのか知らないが薬物による影響というのはどうなっているのか、ですって? それらの不確定要素をすべて組み込むことはできません。だから、これも結果から逆算してプログラムしたのです。  さて、ここから後がミソです。  このモデルの基礎になってくれた人は、このプロジェクトへの全面協力を承諾したとき、33歳だったんですよ。  どういうことかって? つまり、彼はまぎれもなくリーと同じように32歳で死ぬように運命づけられているけれども、決してその通り死ぬことはないということです。  生きている状態と死ぬ時期を過ぎた状態という本来ありえない2つの状態が同じ同居しているわけです。  シュレティンガーの猫ならぬ、シュレティンガーのリーですね。  どうです、この伝説を壊さず、しかも現実にリーを再現してみせた技は。  なんで、そんなことをしたのかですって。それはもう、リーの伝説という最大の財産を守りつつ、しかも生身のリーを自在に使えるようにするためです。  キャッシュとフローをともに自在にコントロールできるようにしたわけですな。これでビジネス上、画期的な飛躍が期待できます。  しかし、力作が並びましたなあ。  どうやって、勝ち負けを決めるんですか。え、直接戦わせる? 直接って、CG製のもあるわけでしょ。関係ない?      
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