ブルース・リー再生計画

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 それにしても、機械仕掛けといってもオリンピック選手並みの運動能力あるね。何、オリンピック選手どころではない。作ろうと思えば、100メートル1秒で走るアンドロイドだってできる、と。まあそうなのかもしれませんね。しかしそうなると、人間の恰好させる意味あるのかと思うけれど。機械をそのまま使った方がよっぽど早いし正確でしょうに。  科学を語る場で有益無益を語るなあって、あ、すみません。また怒らせちゃった。しょうがねえな。  あれ、ヴァーチャル・リアリティでリーを再現しているって、さっきCGチームがやっていませんでしたっけ。いや、これは自分がリーの身体感覚を直接経験できるものですって。  へええ。ちょっとこのヘルメットをかぶれっ、と。あれヘルメットだけではないのね。全身スーツをつけるんだな。ずいぶん大げさな。  えーと、と。お、なんだなんだ。急に体が軽くなった。わ、動体視力というのか、速い動きがよく見える。あそこでやっている演武のバランスの乱れがわかる。すごいな、全身のばねも違う。高く飛び上がれるし、速く回転できる。  ちょっと組手してみてって。あたしは格闘技なんてひとっつもやったことない人間ですよ。あれれ。体が動く。動きが見える、というより見えて考えるより早くもう動いてる。すごいね。あれ、負けちゃった。そこまでの性能はまだ行っていないんだ。  しかしあたしみたいに全然修行も何もしてない人間がこんなことできていいのかな。     
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