ブルース・リー再生計画

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 そこで考え方を変えたと、遺伝子治療を応用したんだと。なんですか、それ。つまり、元からある遺伝子をコピーして再現するところから発想を変えて、どういう人間をデザインするかという目標を設定して、そこから逆算してその目標にふさわしい遺伝子を変更していくという方法ですって。  ああ、これは私から詳しく説明しましょう。  もとはこれもスポーツ医学の産物なのだすけれどね。たとえば長距離走なら長距離走にふさわしい遺伝子をドーピングして身体を改造するといった具合にね。  ここの一人の男性を用意しまして、何をそんなにぎょっとしているのですか、彼はリーその人になれるという目的のためには文字通りすべてを捧げることを誓ってくれました。それは彼にとって最大のカリスマ、いや神に等しい存在と合一できるという体験なのですから、彼にとっては至高の名誉であり、宗教的体験といっていいものでした。  法的問題はどうかですかって、それは弁護士に聞いてください。  ドーピングというか、各パーツにそれぞれ微調整を施して筋肉のひとつひとつに至るまで想定されるリーの身体を再現したわけです。すでに出来上がっているパーツの細胞をさらに誘導して整形しました。どんな形にできる、というほどではありませんけれど、ふつうの整形手術で形を変える以上に変えられますよ。組織をいわば初期化して、細かい血管や筋肉組織のつながりはそのままに形だけ変えるわけです。     
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