プロローグ

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 初めて見たブログを、私は今でも覚えている。  何となく携帯をいじっていた時、たまたま見つけた誰かの日記だった。  三月二十七日の十三時十七分。  アップされたのは、綺麗な青空に咲く桜の写真。 どこにでもありそうな、誰にでも撮れそうな物だった。でもその写真に添えられていた文が不思議と頭に残った。  “時代も人も物も気持ちも変わっていく  変わらないのは、春が訪れれば必ず夏が来ること  夏が来れば秋が来て、冬が来る  そして再び春が来る  それだけは変わらない  でも、去年と同じ春が来ることはない  咲く花も草木も風の香りも同じではない  変わらないものなんて、この世にはないと思う  そう思うのは、自分だけなのか”  変わらないものは、本当にないのかな?  なんとなく宿題を出されたような気分になった。  それから気づけば、私はこのブログを開くのが日課になっていた。  載せられる写真が綺麗だから、文章に惹かれるものがあるから。  でもいつの間にかその向こうにいるあなたが気になっていた。  あなたはどこの誰ですか?  あなたに会ってみたいです。  一度でいいから――――。
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