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そんな事を考えてたら、思わず顔がぽかぽかしてきて、俺は枕に顔面から突っ込んだ。
―――何考えてんだ俺…。
真っ暗な視界の中でも、浮かぶのはやっぱり劉の顔。艶サラな黒髪を触ってみたいなんて、馬鹿な考えが浮かんでしまって、ガバッと俺は顔を上げた。
「疲れてる! 疲れてるんだ俺!!」
自分に言い聞かせるように声をあげて、俺はベッドから降りた。
シャワーを浴びて、帰りに買ってきたコンビニのおにぎりをもそもそと食べた俺は、そのまま寝てしまう事にした。もちろん、寝付くまで目蓋の裏に浮かんだ劉の顔に、悶々とさせられたことは言うまでもない。
◇ ◆ ◇
翌日。けたたましい音で鳴り響くスマホの着信音に、寝ぼけ眼のまま電話を取った俺は、次の瞬間、一瞬にして目が覚める。
回線の向こうから流れてきたのは、もちろん兄貴の声だった。うっかり目覚ましをかけ忘れて完全に寝過ごした。
「あぁあああ…ごめん兄貴っ。目覚まし忘れてた!」
『構わん。俺はもう出なきゃならないので確認しただけだ。起きたのならそれでいい』
「ごめんなさい…」
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