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「パンとかおにぎりとかの方が食べやすいのに、なんで兄貴普通の飯にしたんだ…」
思わず零れる不満。両手を怪我してる相手に、スプーンとかフォークとか、持たせる兄貴の気が知れない。そう思うとなんだかムカムカしてしまって、俺は目の前のご飯をガツガツと食べた。
さっさと食べて劉の手伝いをしようと、そう思ったから。
「隣行っていい?」
「うん? 構わないが」
俺は劉のすぐ横に陣取ると、両手で持っていたフォークを抜き取った。
「要…?」
「食べさせてあげる」
一瞬脳裏に、嫌がられるかなって心配が浮かばなかった訳じゃない。それでも、劉はちょっと困りながらも微笑んでくれて、やっぱり綺麗だなぁ…って、俺は思う。
「味噌汁飲みたかったら言って」
「手を煩わせてすまないな」
「ううん、大丈夫」
首を振る俺は、劉を気に入ってるって言ったらどんな反応されるだろうとか、そんな事ばかり考える。男同士だし、気持ち悪がられる可能性の方が高いけど…。
劉を好きか嫌いかって聞かれたら、間違いなく好きって答えるだろう。友情か恋愛かって聞かれたら、友情以上恋愛未満。これまで年下の女の子しか相手にしてこなかった俺としては、劉は年上だし、なんとなく憧れっぽい感情の方が強くて恋愛感情というのとも少し違う気がしてた。
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