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完全に墓穴を掘っている。そんな自覚はある。もう頭の中なんて真っ白で、俺は自分が何を口走ってるのかすらちゃんと把握できてない。っていうか、何を言えばいいのかも分からない。
「ごめ…ごめんっ、劉だって俺に触られるのとか嫌だよな…っ」
「要」
「ホントごめ…」
「要。分かったから、ちょっと落ち着け」
困ったような顔で劉に諭されて、俺は余計にいたたまれなくなる。出来もしない事をやるなんて、最初から言わなければ良かったと心の底から後悔してた。当然顔なんてあげられる筈もなくて。
ずっと俯いたままでいれば、劉の包帯の巻かれた手が俺の頬に触れた。
「お前はまだ若いし、慣れてもない事を無理矢理させるつもりはないんだ。お前に触れられるのが嫌な訳ではない」
「うん……」
「そうだな…、私がして欲しい事をきちんと言わないのがいけないな…」
やっぱり劉は俺なんかよりも全然大人で。
「下着を下ろしてくれないか。それと、終わった後に直してくれれば助かる。それ以外は大丈夫だ」
手というよりは腕を腰に回されて、俺は一旦個室の外へと劉に連れ出された。
劉が着てるのはごく普通のスウェットで、きっと兄貴が用意したものなんだろう。俺は言われた通り劉のズボンを引き摺り降ろして、またそこで手を止めてしまった。
「分かりやすいなお前は」
「ぅぐ…」
反論のしようもなくて言葉に詰まっていれば、静かに肩を叩かれる。
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