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「いやだからそうじゃなくって、だって布団買えばいいじゃん!? 友達同士でも同じ布団で寝るとかあんまないって言ってんのっ」
「それはそうだろうが、残念だが私は今買い物に出られない」
「あ、そっか…」
掌を上にして僅かに両手を上げてみせる劉に、俺の脳内は急速に冷えた。というか、それってむしろ兄貴のせいであって劉が悪いんじゃない。
「今は世話になっているが、私はずっとここに居る訳ではないからな。あまり物を増やすような事を申し出るのは控えていたんだが…」
劉の言葉に、俺は大事な事をすっかり忘れていた事に気付く。それは、劉がいつまでここに居るかだ。劉が言うように、別に劉はここに住んでる訳じゃないんだった。いつかは、居なくなる。
せめて連絡先くらいは聞いておきたいなぁ…なんて思ってた俺は、だが次の瞬間劉の言葉によって現実へと引き戻された。いやむしろ、引き戻されたどころか地獄に叩き落とされた。
「しかしそうだな…、お前がそんなに抵抗があるというのなら、一人で使ってくれて構わない。私はどこでも寝れる」
「いやいやいやいやっ! そうじゃなくって! いやそうなるのは分かるけどっ!」
「抵抗があるから言ったのだろう?」
「違…っ、そうじゃなくて!」
―――あぁもう、何でこう俺って余計な事言うんだろ。いやでもこれは兄貴のせいだ!
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