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怪訝そうな顔をする劉は、それでもあっさりと布団の横の畳の上にゴロリと横になってしまって俺は焦る。
劉の言う事は分からなくはない。それどころか痛いほどよく分かる。だって俺の言い方だと、きっと劉と一緒に寝るのが無理って言ってるようにとられかねない。けど俺はそうじゃない訳で。
どう言ったら伝わるのかも分からなくなって、俺は劉の腕を掴んだ。
「大丈夫だ。私の事は気にしなくていい」
「いやだからそうじゃないんだってば! びっくりしただけ! 嫌とかそうじゃなくって…っ」
劉なら大歓迎ですって、言えたらどれほど楽だろうとか思いつつ、でも逆にそんな事を言って引かれるのも怖くて俺は言えない。取り敢えず行動で示すしかなくて劉の腕をぐいぐいと引っ張ってはみるけれど、これがなかなか動いてくれない。それどころか背中を向けたままびくともしなかった。
「要。無理はしなくていいって言った筈だ」
「そうじゃないって言ってんのに…っ」
裏目にばかり出る自分の行動が嫌で、もはや泣きたくなってくる。
「ねえ劉っ、畳で寝るとかやめろよ…ホント、嫌で言ったんじゃないから…マジで…」
言い募ってるうちに本気で泣きそうになって、俺が鼻を啜った時だった。小さな溜息が聞こえて、劉がくるりと振り返る。その顔は、完全に困惑の色を浮かべてた。
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