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兄貴が言わんとしてる事は、俺にも分かった。分かったけれど、何だか意外だ。正直、そんな事まで考えてるとは思わなかった。
「それよりも劉だがな」
「……うん…」
「お前、連絡先か何か聞いてないか」
「聞いてない…」
「そうか」
どことなく兄貴の声も劉の事を心配してるみたいで、何だか俺は息苦しくなる。
きっと劉が兄貴のところを出て行ったのは俺のせいだ。
「兄貴は…? 連絡先知らないの?」
「知らん」
「じゃあ、どこ行ったか全然分かんないんだ…」
どうしようって、そればかりが頭に浮かんでは、どうしようもないのだと打ちのめされる。やっぱりちゃんと、昨日の夜に話をしておけばよかったなんて、後悔したところで時間は戻らないんだ。
辛くて、悲しくて、切なくて、寂しくて、どんどん気持ちが沈んでく。
「会いたいか?」
「うん…。ちゃんと、話してなかったから…」
「何があった」
何だかもう吹っ切れてしまって、俺は兄貴に全部話した。劉が好きだって事も、昨日の夜の事も。もちろん、好きだけど悩んでる事も。本当に洗いざらい全部ぶちまけて、何に悩んでるのかも話してみたら、兄貴はやっぱり小さく笑った。
「何か…ごめん…」
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