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言い終わってみればやっぱり恥ずかしくて。しかも劉の事があるまで俺は兄貴と話なんて殆どした事がなくて、それなのに突然色々暴露してしまった事が申し訳なくなってくる。
いくら兄貴が男同士でも引かないって言ったって、もう出て行った相手の事でウジウジ言われてもどうしようもないだろうと、そう思う。だけど。
「本気なら、仕方がないんじゃないか? まして国が違えば考え方が違うのは当たり前だろう。それもひっくるめてお前が考えてるなら、話も出来るだろうよ」
「でも…兄貴にも居場所わかんないんだよね…」
「すぐには割れんだろうが、そのうち見つけてやる。それまでもう少し悩んでいればいい」
「うん…。ありがと…」
◇ ◆ ◇
兄貴のアパートから劉が出て行ったと聞かされた日から、一カ月近くの時間が経っていた。あれから、俺と兄貴はたまに連絡を取り合うようになっている。といっても、そんなに頻繁なものではなくて、兄貴が俺を色々気にかけてくれるようになったって感じだけれど。この間なんて、ついにプレゼントまでくれたんだ。きっかけはあまり良い事じゃないけど、何だか本当に兄弟みたいでちょっと嬉しかったりする。
劉の足取りは、まったくと言っていいくらい掴めていないらしい。
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