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「僕は、嘘は吐かないよ。ここにいる劉と違ってね。劉は、キミにたくさん隠し事をしてるって知ってるかい?」
そう言って首を傾げるフレデリックは、明らかに俺と劉を揶揄うみたいに見下ろしてて、正直腹が立つ。すげー偉そうで、馬鹿にされてる気分だ。
「そうですか。別に、劉が何を隠してても俺はどうでもいいです。それより嫌がってるんだから離してください。警察呼びますよ」
今まで経験したこともないくらい怖かったけど、同時に何だか引き下がりたくない気持ちも強くて。俺はフレデリックに見えるようにスマホを取り出した。
そしたらフレデリックはまたクスッて馬鹿にしたように笑って、あっという間に俺の手からスマホを奪ったんだ。
「返せっ!」
「そんなに怒ってないで、もう少し話をしようよ。せっかくだし、キミに劉の事をたくさん教えてあげる」
要らないと、そう言おうとした瞬間大きな手が首に伸びてきて、俺は逃げようと身を捩ったけど無駄だった。遠くに、俺の名前を呼ぶ劉の声が聞こえた気がするけど、返事をする事も出来ずに俺はそこで記憶を途切れさせた。
◇ ◇ ◇
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