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目を覚ますとそこは、俺の知らない場所だった。何かの事務所みたいな、それにしてはあまりにも物がない気がするけれど、事務机が二台向かい合わせに置かれているのと、まったく離れた場所にキャスター付きの椅子が放置されてる。
俺はと言えば応接用のソファの上らしく、ふかふかして居心地は悪くないけど、態勢がどうにもきつかった。動こうにも動けないその理由は、頭の後ろで固定された腕と、片足を折り曲げたまま縛られてるからだ。
―――なにこれ…。なんで俺縛られてんの!?
思い当たる節は、一つしかない。
劉と一緒に居た、フレデリックと名乗った金髪の男。
頭の後ろにある腕のせいで首が僅かに前に倒れたままで苦しいけれど、声を出せない訳じゃない。大声を出せば誰かが気付いてくれるんじゃないかと、俺が思い切り息を吸い込んだ時だった。まるで見ていたようなタイミングで正面のドアが開いて、見間違いようもない金髪の男が現れたのだ。
相変わらず楽しそうな笑みを浮かべた男は、その顔に見合った声を出した。
「叫ばなくても、僕はここにいるよ。それに、キミの大好きな劉も、ね」
「ッ…」
言いながらフレデリックがドアの奥から引きずり出したのは、腰の後ろで腕を縛られた劉だった。目隠しをされ、猿轡まで噛まされてる劉の肩が剥き出しにされてて、俺は一気にカッとなる。
「何やってんだお前ッ! 劉に何しやがった!?」
「それは、本人に聞けばいいんじゃないかな?」
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