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「それは、どういう意味? 僕のものを、キミは横取りしたいのかな」
刀を向けられても平然としてるフレデリックと、刃物を向けてても余裕もない兄貴。兄貴はもの凄く苦しそうな顔をして、首を振った。
「……弟だけは、返しちゃくれませんか。他は自分の出る幕じゃない…」
ほらね。だって兄貴がそんなこと言うはずない。劉を見捨てるような事……絶対…。
◇ ◇ ◇
何だか酷く嫌な夢を見て、そのままの気分で目を覚ましたら、すぐ目の前に兄貴がいた。どうやらずっと俺の顔を覗き込んでたらしい。
「兄貴…? あれ? 俺何で…」
「気が付いたか」
街中で劉を見つけて追いかけて、そしたらそう、フレデリックって金髪の男に会ったんだ。でも、その後の記憶が俺にはなかった。俺が思い出せる最後は、金髪の男に首を絞められたって事だけだ。死ななかったんだなんて安心する前に、俺は思わず兄貴に縋りついた。
「そうだっ! 劉は!? それにあの男!!」
ガバッと勢いよく起き上がろうとした俺を、兄貴は片手であっさり押さえつけると小さな息を吐いた。
「劉と一緒に居たのは…フレデリックって男だ」
「名前は…聞いた。誰なの? 兄貴の事も、兄貴のボスも知ってるって言ってた…」
「まあ、そうだな…」
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