81人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
思わずがっくりと項垂れていれば、辰巳さんに呆れたように鼻で笑われてしまっていたたまれない気持ちになる。ホント、俺って馬鹿すぎる。
「ところで設楽お前、どうやってフレッドの居場所割り出した」
「ああ、要にGPS持たせてましたから」
「はえっ!?」
「くくっ、犬に首輪か。上出来だ」
辰巳さんは笑ってるけど、俺はGPSなんて聞いてない。いったいいつの間にと、そう思ってミラーの中の兄貴を睨んでれば、兄貴はあっさりとプレゼントしてくれたスマホケースに仕込んであったと教えてくれた。当然、俺は慌ててスマートフォンを取り出した訳で。
革素材で出来たスマホケースは、本体を外してみても何の変哲もないただのケースだ。ひっくり返して裏を見ても表を見ても、GPSの発信機らしきものはない。
しげしげと俺が見つめていれば、辰巳さんの大きな手が横からケースを奪い取った。
「あ…っ」
ケースをくるっと回してじっと見つめ、手帳型になってる裏側のカバーを辰巳さんは面白そうに指で弾く。
「はぁん? なるほどねぇ。こりゃあ確かに気付かねぇわな」
「長期間の寿命は必要ありませんからね」
「かっ、返してください…」
最初のコメントを投稿しよう!