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―――でも、俺が聞いてなかっただけで、劉の事はすぐに教えてくれたのに…何で? 何でフレデリックって人だけ…そんなみんな腫れ物みたいな扱いなの…?
辰巳さんだって兄貴だって、ヤクザだって隠してない。マフィアの劉だってそうなのに、じゃああのフレデリックって人は何なんだって思う。それに、兄貴は辰巳さんの部下だけど、劉とあの人ってどんな関係なんだろうかとか。気になる事はたくさんある。
なんだか腑に落ちないまま俯いてれば、辰巳さんの大きな手が俺の頭を掴んでグイッと顔を上げさせられた。それどころか、座席が広いからか俺の脚のすぐ横に膝をついて、顔をじっと覗き込まれる。
―――な、なに…?
「お前の兄貴が劉を何で見捨てたのか教えてやるよ」
「え…」
「フレッドはな、フランスマフィアだ。いいかクソガキ、マフィアってのはよ、俺らと違って看板背負ってる訳じゃねぇ。それどころか素性隠して組織自体存在してねぇ事にしてるような連中なんだよ。そんなの相手に俺らが敵う訳がねぇだろう。だいたいお前、フレッドが劉拉致った現場行って、帰って来れたのが奇跡だと思え。下手すりゃ設楽もてめぇも生きてねぇんだよ。分かったな?」
「そん…な…。じゃあ劉はっ!? 劉はどうなっちゃうの!?」
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