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俺は少しだけ気を良くして、課題内容の詳細に目を通し、次の瞬間、その考えがまったく的外れであったことを思い知らされた。
課題の詳細内容にあったのは、こんな指令。
ユウに『ありがとう・ごめんなさい・嫌だ・お願い』という言葉を言わせるよう促すこと。
もちろんこの内容はユウに知られてはいけないものであり、課題内容を知られた時点で失敗扱いとなる。従って言葉もさりげなく自然に発されたものでなくてはならない。
ユウに何か親切をして「ほら、ありがとうは?」と促す、みたいに無理やり言わせるのは駄目ということだ。
もちろんユウがそう言うように促すのは俺の役目だし、ユウ自身は何もしらない状態ではあるんだけど、でもこの課題は結局、ユウがこの言葉を言わない限り終わらない。
ありがとう・ごめんなさい・嫌だ・お願い。
簡単そうで難しい。かなり微妙な言葉だ。
だけどまあ、ありがとうに関しては、ユウならふつうに言ってくれそうに思える。なので、問題は残りの三つのほうだろう。
今までのことを考えると、相手に謝罪の言葉を言うのはいつも俺のほうだった。数えたわけじゃないけど、たぶん俺はユウの十倍はごめんなさいを言ってる。ユウはそもそも俺に謝るようなことをしないんだ。だけど今回はそのユウになんとかして謝らせなくてはいけない。
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