『実験開始』

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 ってか、確かに考えてみればそうだ。ワンルームの部屋にベッドがひとつってのは普通の光景だけど。問題は今ここに二人の人間がいるってことだ。しかもそれなりに成長済みの男が。 「いやいやいや、ありえないだろ」  いくらサイズがダブルだといっても、ガキじゃあるまいし、恋人でも兄弟でも親友でもない赤の他人と、出会った初日の夜から一緒のベッドって、なんだよそれ。 「頼めばエキストラベッド入れてもらえるだろうけど……」 「そんな空間どこにある」 「だよねえ」  狭い一人暮らし用のワンルーム。  これでまだベッド自体がなければ、床に布団を二組敷いて寝ることは出来ただろうに、ベッドがある所為でそれも無理。この状態では、床に布団を敷くスペースはもうない。それにたとえ敷けたとしても、ひとりは大きなベッドでぬくぬく眠れて、ひとりは狭い所で家具に押しつぶされそうになりながら眠るなんて、想像しただけで気分が重くなる。  だからそんなことをしたら絶対喧嘩になる。ただでさえずっと一緒なのに、そんなギスギスした状態で過ごすことを考えたら、必然的に二人一緒に仲良くベッドで寝たほうがマシということ。 「なんだよ……ったく」  いろいろ不便だ。ってか面倒くさい。  これから始まる、ユウと二人だけで過ごす未知の時間のことを考え、今更だけど少しだけ気が滅入ってきた。
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