『課題②:競争・対戦』

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 にしても、こんなことをしてると、なんか遊ぶ相談をしてるみたいで全然実験の被験者っぽく感じない。これを仕事と呼んでいいんだろうかと、ちょっと不安になったけど、俺は無理やりその考えを脇に押しやった。  だってさ。もしかしたらそれが実験の狙いなのかもしれないじゃないか。なんたって、ふつうに生活しろっていうのが最初に言われたことだったんだから。  なので俺は遊ぶ。おもいっきりいつも通りに遊ぶ。  そう決心したら、なんだかすっごく気が楽になった。  対戦内容は最初に全部選んでおく必要はなく、とにかく終了のアナウンスが流れるまでひたすらやり続けろってことだったんで、俺達はそれぞれの得意分野と苦手分野が半々になるようにして、次々と対戦を行った。  選んだものと対戦結果などは出来るだけ細かくレポートにすることっていう指示があったんで、ひとつ終わったら結果を表にして勝ち負けを入力した。  勝負の結果に関しては、単純な力比べは俺のほうに分があって、じっくり考える頭脳戦はユウのほうに分があった。こういう時、お互いの得意分野がかぶっていないっていうのは、意外と楽だ。こっちで負けても、あっちで勝てると思えば、そんなに悔しくないからだろうか。  そんなこんなで、腕相撲は俺が全戦全勝した。ただしそれはお互いの利き手である右の場合。試しに左手でもやってみたら、かなりの接戦で何回かは負けてしまった。     
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